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2013年6月7日

舞台「新・贋作水滸伝-Heroes-」を観劇! 演出家&出演者にインタビュー

(左から)演出家の宇治川まさなり氏、佐伯太輔、笠原竜司

劇団スタンダードソングが一昨年に放った「贋作 水滸伝-Outlaws-」は、演技力と大活劇で好評を博した、舞台版「水滸伝」。その第2弾として英雄豪傑が再降臨しているという情報を仕入れ、「月刊水滸伝」編集部は、スタンダードソングによる「新・贋作水滸伝-Heroes-」上演中の舞台を観劇すべく、東京・東池袋へ。インタビューも実施してきた。「新・贋作水滸伝-Heroes-」について熱い想いを語ってくれた今回の好漢たちは、豹子頭・林冲役の佐伯太輔、花和尚・魯智深役の笠原竜司、そして劇団を率いる演出家・宇治川まさなり氏の三傑! なぜ“贋作”なのか、そして、今なぜ「水滸伝」なのか――。「水滸伝」に魅せられた男たちの想いを聞いた。

この「新・贋作水滸伝-Heroes-」は林冲、魯智深、史進が運命に導かれて出会い、“梁山泊”の頭領・晁蓋を筆頭に、誠国(せいこく)の極悪官吏・高俅に立ち向かうまでの物語だ。タイトルには“贋作”とあるが、限りなく「水滸伝」原典に近い世界。ちなみに以前当コーナーにご登場いただいたキノトロープ社長・生田昌弘氏、正子公也氏、森下翠氏が一昨年の舞台を鑑賞しているという、ファンも注目の舞台である。「オリジナルの『水滸伝』の話をモチーフに日本人目線のエピソードなどを盛り込み、最初の舞台が完成しました」と語る演出の宇治川氏。“贋作”という言葉には、決してネガティブな意味があるということではないようだ。「本当は一〇八星に登場してほしいですが、それではスケールが巨大で舞台には収まらないですよね(笑)。それで独自のオリジナルの物語で『水滸伝』を語ろうということになって、そういう意味で“贋作”と言っています。スピリットは原典です」。

林冲役の佐伯は、一昨年に続いて悲劇のヒーロー役を連投した。二度演じた者として“贋作”「水滸伝」の魅力は、「そのオリジナリティーにあると思います」と力説する。「スタンダードソングで上演する作品は、実は『水滸伝』の熱心なファンに観てほしい内容です。確かにスピリットは原典ですが、自分たちのオリジナリティーとの融合を目指しているので」。設定は時代モノだが、現代劇みたいな印象を抱く。これも、佐伯が目指すオリジナリティーの一種だ。「脚本の久松真一さんが言われていることですが、確かに現代に通じる話だと僕自身思います。今の、この世の中だからこそ、観てほしい作品だとも思っています」。

「新・贋作水滸伝-Heroes-」の舞台

また、仮に忠臣蔵や新撰組が海外で上演されれば、その国の文化と溶け合って違うモノになりそうなように、「中国発祥の『水滸伝』は中国で上演してこそ古典で、だからこそ日本人が上演すれば“贋作”になるんじゃないですか」と魯智深役の笠原は解説する。「日本人が扱う時点で贋作になるので、単なるものまねではなく、僕たちの目線で『水滸伝』を作ることに意味があるだろうと。ストーリーや設定、キャラクターの面白さを借りれば、後はアジアという意味では血は通っていると思うので、なじみやすいドラマになると思っています。だから“贋作”にはヘンな意味はなく、日本人になじみやすく紹介していくという意味を込めています」。窮屈な縛りがないため、笠原版の魯智深のキャラクターは面白い。ドレッドヘアで、豪快な生臭坊主。原典以外の要素も入っている。「そうですね(笑)。北方謙三さんの『水滸伝』も参考にしているので、どっちでもないですね。言ってみれば、僕のオリジナル(笑)。僕が見たこと、感じたものを取り入れた魯智深ですかね」。

筆者が鑑賞した上演回は、満席だった。しかも女性客が多く、確実に大和撫子が好漢に育っていることをこの目で確認。「水滸伝」は現代の日本でも着実に愛され、今こそ必要であることを如実に物語っていたような光景だった。宇治川氏は「水滸伝」の人気と魅了を、こう分析する。「人は縁あって結婚して、職場で同僚になって、家族や経済、国家を支えていますよね。それって昔に約束をした者たちが現代に生まれ変わって、何かを一緒に力を合わせて成し遂げていく宿命が背景にあるような気がしています。その原点こそが、『水滸伝』の物語でしょう。人と人との縁、それを描いているからこそ古くならない物語で、いつの世でも人々が“戻る世界”として存在する――それが『水滸伝』の人気で魅力だと思います」。そして劇団にとっても、本作は特に熱が入る作品であると宇治川氏は熱弁する。「僕たちスタンダードソングの仲間も、もう10年近く一緒に歩いています。これもきっと、その昔の約束を果たしているということだと思います。今回、「新・贋作水滸伝-Heroes-」を演出していて、それが根本にあるような気がして仕方がなかったです(笑)」。

取材・文・写真:鴇田 崇

スタンダードソング公式サイト:http://www.standardsong.com/

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