ニュース

一覧ページに戻る

2013年7月2日

KBCラジオ「北方謙三 水滸伝」収録現場潜入レポ! &石橋凌氏インタビュー

「北方謙三 水滸伝」で語りを担当している石橋凌さん

2006年第9回司馬遼太郎賞を受賞した北方謙三著「水滸伝」。シリーズ累計部数540万部を突破したこの“北方水滸伝”が、「北方謙三 水滸伝」と題し、KBCラジオ(福岡・九州朝日放送)を始め、北は北海道から南は沖縄まで、全国6つのラジオ局で放送中だ。2011年4月から始まった同ラジオドラマには、俳優・石橋凌さんとふたりの声優、横尾まりさん、野島裕史さんが出演。毎週月曜日~金曜日の午前6時より10分間の帯番組として人気を博している。今回は、ドラマの「語り」を担当している石橋凌さんの収録現場に訪問し、併せて話を伺った。

周知の通り、石橋さんは、北野武作品、三池崇史作品で知られる名優であるとともに、日本人では数少ない米国の俳優組合(SAG)の会員で、監督ショーン・ペン、ジャック・ニコルソン主演の『クロッシング・ガード』にも出演した国際俳優のひとり。芸能界デビューが、伝説のロックバンド、ARBのボーカルだったことも広く知られている。が、意外にもラジオドラマへの参加は初めてということで、スタートから数十話のうちは、アプローチを模索したそうだ。

「声優さんたちには感情の部分、有機的なものを任せて、ナレーションの私は無機的なものをめざしたほうが、リスナーに響くだろうと当初考えていました。しかし、話数が進んでいくうちに北方さんの作風にある突出したリアルさや情の描写をナレーションの部分でも押し出すのも肝要だと気づきました。ラジオドラマのナレーションは、映像に関わる俳優の仕事とは大きく異なると実感しています。声のみでリスナーに物語の画を届けなくてはならない。ですから私としては、リスナーに映像が見えやすいよう、なおかつ残像が残りやすいよう留意しています。具体的にいえば文章の区切り方ですね。明らかに俳優の台詞回しとは異なります。これもこちらの作品に参加させていただきながら見つけ出してきたものです。この作品に際してまず想起したのは、幼い頃祖母のそばで聞いていた浪曲でした。当時はラジオが主流でまさに声だけで物語を表現していました。そして日頃から親しんでいる落語。私としては滑舌の優劣ではなく、むしろ内面をどう人に届けるかに集中している人のほうが巧いと感じています。それからジャズ。演奏者の色彩や味わいは、テクニックだけなく、演奏の中にある緩急や強弱から生まれる。これらはナレーションに取り入れるべき要素だと感じ、実践しています」。

「北方謙三 水滸伝」の収録風景

今回お邪魔した日は、ちょうど630話目の収録。残り1000回が控えている。「ちょうど2年めで3分の1を終えたところです。6年越しのプロジェクトですからね。KBCさんにはアマチュア時代からお世話になっているんです。博多にあった“照和”というライブハウスを経て、KBCさんの番組で生演奏して、プロデビューをしたので」。このように郷土愛にも義にも篤い石橋さんが、義を描いた「水滸伝」と巡り合ったのは運命的なものを感じるが、「北方謙三 水滸伝」にはさらに今を生き抜くヒントがあるという。「登場人物を大別すると官軍と梁山泊側になりますが、悪人と善人という簡単な図式、勧善懲悪にはなっていないんです。官軍つまり体制側にもヒューマンな人物がいる。でも組織の中で否応なしに意にそぐわないこともしなければならない。今の会社でも同じですよね。そのあたりや時折現れる人間の本音には、特に北方先生の表現の繊細さが現れていると思います。また宋江や呉用といった同じ梁山泊の幹部でもキャラによってニュアンスを変えた描写がなされていて、人間関係にもこれが作用してくる。このあたりもナレーションで巧く伝えていきたいですね。この作品には政治不信、筋を通すことの難しさなど現在の実社会に通じる要素が多く含まれています。それを通じて導きだされるのは、人はどう生きるべきかということです。それは国や時代、所属する組織といったことは関係ありません。この時代をどう生き抜くかの知恵をぜひ感じていただければと思います」。

なお同番組は、平成23年日本民間放送連盟賞ラジオエンタテイメント番組部門で優秀賞を受賞している。

各地の放送時間は以下の通り。
KBCラジオ(福岡)月~金 あさ6:00~6:10
毎週日曜よる22:00~22:30(30分版)
STVラジオ(北海道)月~金 あさ5:20~5:30
SBCラジオ(長野)月~金 夕方18:15~18:25
TBCラジオ(宮城)毎週日曜よる23:30~24:00(30分版)
BSNラジオ(新潟)毎週日曜よる22:30~23:00(30分版)
RBCiラジオ(沖縄)毎週土曜あさ7:00~7:30(30分版)
原作の北方謙三「水滸伝」は集英社文庫から発売中

「北方謙三 水滸伝」公式サイト(10分版)
http://www.kbc.co.jp/r-radio/suikoden/

「北方謙三 水滸伝」公式サイト(10分版)
http://www.kbc.co.jp/r-radio/suikoden/sub.html

取材・文:地畑寧子

一覧ページに戻る