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2013年5月16日

豪華対談! キノトロープ生田氏×正子氏×森下氏が「水滸伝」への想いを語る

(左から)森下翠氏、正子公也氏、キノトロープ社長の生田昌弘氏

「水滸伝」を愛するファンはもちろん、これから「水滸伝」の道に入ろうとしている初心者にもオススメしたいアイテムが、「絵巻水滸伝」だ。「月刊水滸伝」では15年に渡って「絵巻水滸伝」をサポートするキノトロープ社長・生田昌弘氏と、そのイラストを手がける正子公也氏、文章を執筆する森下翠氏の三傑に直撃インタビュー! 3人の運命的な出会いから「水滸伝」の魅力、「絵巻水滸伝」の今後まで、いろいろな話題を聞いてきました。

「絵巻水滸伝」を知っていても、3人の関係性をご存知ない方もいるかもしれない。「僕も最初は『水滸伝』に詳しくなく、森下さんの文章が初めての『水滸伝』体験に近かった(笑)」という生田氏が、以後15年間に渡って発行をサポートし続けている理由とは? 生田氏は「僕たちが出会った当時は1998年頃で、当時はインターネット人口も少なく、まだコンテンツがなかった時代。ただ、ネットは完全にメディアであると確信していたので、キノトロープがWEB屋である以上、自分でコンテンツを作りたくなったというわけですね」。

これが「絵巻水滸伝」誕生のきっかけ。「水滸伝」のファンだったということではなく、「水滸伝」を愛する正子氏、森下氏と運命的に出会い、「これだ!」と生田氏は強く感じたという。「『水滸伝』に手を出す人はいなかったと思いますが(笑)、それ以前に企業のホームページは広報の場と化していて、どこもかしこも会社案内しかない。そうじゃないだろうという見本を作りたいという会社としての想い、『水滸伝』を世に分かりやすく広めたいと思う、おふたりとの出会いが重なったわけです。そして15年。最初の10巻は書籍としても刊行して、いまは次の10巻を作る後半戦に入っています。後、何年間かかるかは分からないですが(笑)」。

「絵巻水滸伝」のイラストを担当するのは、絵巻作家の正子氏。どのキャラクターも飛び出してきそうな迫力で、まるで3D映像を観ているような気分にさえなる。そのタッチには「水滸伝」、そして108人の好漢たちに対する深い愛情が満ちているが、惹かれた最大の理由は好漢たちのカリスマ性やヒロイックな生きざまにあったと正子氏は説明する。「衝撃でした。この世にこんな面白い物語があるのかと。寝食を忘れて、夢中で読みました。物語の中で、僕はたくさんの好漢と出会いました。伏魔殿から解き放たれた108人のアウトロー達が次々と登場し、宿命を背負ってやがて梁山泊に集っていく。あれから40年、今以て彼らは僕のヒーローなんです」。水滸伝との出会いは、正子氏のその後の人生を変えたという。「男はこう生きねばならぬ、友とするならこういう男を、と、ほとんど哲学というか、信仰ですね(笑)」。

時に新しい解釈を加えながら、登場キャラクターの魅力を更に厚く、読み手に分かりやすく伝達する文章は、森下氏の役割だ。東洋史を専攻 していた学生時代、当時は「三国志」ブームの時期だったそうだが、駒田訳の「120回本」を読み、その混沌とした未知のエネルギーに 圧倒された。「「三国志」は物語も登場人物の行動も容易に理解できましたが、水滸伝はまったく違う。理解できないが、非常にリアル で、とてつもなく面白い。「水滸伝」中の矛盾は物語の成立過程にも原因があるのですが、この世界を理解するために、一時は専攻を中国 文学に変えようかと真剣に悩みました」と初めての邂逅を懐かしそうに回想する。

経営者として組織を束ねる生田氏の場合、「水滸伝」を両氏とは異なる視点で見ていた。運命的な出会いを経て、「絵巻水滸伝」を制作していく過程で、会社を「水滸伝」のような組織にしたいという想いが強くなっていったという。「この108人、ひどい人間たちですが、実はモノを作る製作者って、基本的にはロクでもない(笑)。それを束ねて会社をやることは奇跡みたいなモノで、クレイジーですね。ただ、最大の魅力は忠誠心ですよ。働いている人間の個々の背景を知ると絶対にやっていけないでしょうが(笑)、皆が集まれば組織としてのパワーが出ます。個々としても魅力がある。それって、理想的な組織じゃないですか」。いまや従業員の人数も多く、離職率も極端に低い。渋谷の梁山泊と言っても過言じゃない!

ただ、経営者としては、いささか反省点もあるという。自社にコンテンツを、というピュア発想でスタートした「絵巻水滸伝」だが、「いや、今もピュアで。そこが問題でね(笑)。15年経って、大人になれよって話です(苦笑)」と本音を吐露する一方で、「いろいろな意味で、大人になったら「水滸伝」は書けないです(笑)」(森下)という意見も。ただ、「「三国志」はブームになった。「水滸伝」にも、やがて大きな波が来るだろうと確信しています」(正子)という想いを乗せて、「絵巻水滸伝」は後半戦を突進していく。それに「絵巻水滸伝」には、果たさなくてはいけない壮大な夢がある。生田氏は言う。「「水滸伝」には、これを読もうっていう王道がなかったわけですね。王道がないから、皆入りにくい。だから、僕たちの『絵巻水滸伝』が、その役割をはたしてくれれば最高ですね。続けますよ(笑)!」。

■キノトロープ/水滸伝サイト
http://suikoden.com/

取材・文・写真:鴇田 崇

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